<3>書道★


「え、榊様、書道出来ないんですか?」


 狼狽えたような、驚いたような桜の声に、祀理は俯いた。
 書道……小学校でやったきりである。

「それ、まずいですよ。今からでも練習した方が……」

 そこへ、襖を開いて柊が顔を出した。

「どうかしたの?」
「ちょ、柊様。大事態です。榊様、書道が出来ないそうで」
「え、それは、まずいね……仕事でも使うし」
「練習した方が良いですよね?」
「そうだね」

 二人に深刻そうな顔で頷かれたものだから、祀理は書道の練習をする事になった。


「え?」

 一人で、練習する場で待っていると五瀬がやってきた。
 なんだか嫌な予感しかしなくて目を見開いていると、その内に、笑顔で柱に拘束された。

 着物は呆然としている内に胸が見え、陰茎が露出するほどに、腰から下、足だけが自由な状態で乱された。

「あ、あの……?」
「んー?」
「きょ、今日は書道の練習で……」
「嗚呼、聞いてるよ。頑張れ! 応援してるから」

 そう言うと笑顔で、五瀬は出て行った。
 入れ替わるように、柊と桜が入ってくる。

「よしやろうか」
「榊様、頑張りましょうね!」

 事態が飲み込めないままでいる祀理の前で、二人は墨にしては、ヌルヌルした液体を筆に付けた。

「ひゃッ」

 そしてそれをほぼ同時に乳首へと押し付けた。
 震えたが、拘束されているため、動けない。
 その後は筆の先端で、胸の突起を回すように、たまには先端を刺激されたり、押しつぶすようにされながら、嬲られた。

「ううッ、あ、いやっ」

 思わず声を上げると、二人が顔を見合わせた。

「嫌って、もう書道に飽きちゃったのかな?」
「もうちょっと楽しさを知ってもらわないといけませんね」

 そう告げると二人は、それまでよりもさらに弱い刺激で祀理の胸の突起をなで回した。

「ふ、ッあ」

 声が出そうになったが、必死で堪える。
 ゆるゆると乳首をそれぞれバラバラの動作で撫でられ、その弱い刺激に、苦しくなってくる。散々快楽に慣らされた体には、その動きが優しすぎて逆に辛かった。

 気づくと腰が動いていて、太股をあわせて、陰茎を揺らしていた。

「あ、ああ、うあっ」

 その時、不意に強く柊に刺激されて、声が漏れた。

「ちょっとは楽しくなってきた?」
「え、あ?」
「柊様、楽しくなる前に、感じちゃったみたいですよ」

 呆れたように桜が溜息をついた。

「えー、本当? ただ、書道してるだけなのに?」

 馬鹿にするような柊の声が続く。

「でも折角ですから、書道って気持ちいいものだ、って思ってもらうようにしたらどうでしょう?」
「ありだね」

 そう言うと、桜が屈み、柊が腕を斜めに伸ばした。

「う、ぁあああッ、ひ、あ、ああああ!!」

 今度は先走りの液が零れそうになっていた陰茎の先端を、ユルユルと、柊の筆で撫でられる。そして、桜の筆では、一筋ずつ解すように、菊門の襞を撫でられた。

「やぁッ、あ、ああっ」
「ヤダって事は、まだ楽しさを知ってもらえていないみたいだね。しゃ、初級に戻ろうか」

 そう言って柊は、暫し軽く先端を嬲っただけで、再び乳首を筆で弄り始めた。

「いや、もう中級で良いと思います。こっちは中級をやってるんで、初級は続行でお願いします」

 それから、右胸の突起の先端だけを、羽で撫でるように柊に筆で撫でられた。
 一方の桜には、相変わらず襞を解すように撫でられている。

「あれぇ、本当に榊様って、淫乱みたいだね。書道してるだけなのに感じるなんて」

 不意に、陰茎から垂れる先走りの液を見据え、失笑するように柊が言った。

「もしかして、書道してるだけなのに、筆の動きで感じちゃったのかな? なにか期待してたの?」

 クスクスと笑われて、祀理は涙を堪えた。

「ひッ!!」

 すると、筆で撫でる手とは片側の手で、左の乳首を急に掴まれた。

「あああっ」

 それまでのもどかしい刺激とは違うダイレクトな感覚に、思わず声を上げて、体を震わせる。睫を涙が濡らした。

「どうして欲しいのか言ってご覧?」

 優しい声で、柔和な表情で、柊が聞く。

「あ、ああっ、う、あ、さ、触ってッ」
「いいよ」

 そう言って柱の後ろに回り、筆を置いて、両方の乳首を柊が撫で始めた。
 摘んだり人差し指を早く動かして感じさせたり、時には優しく先端を刺激する。
 それは、腕で、祀理の膝を抱え上げ、足を広げさせながらの行為だった。

「ひぁ、ひゃぁああッ」

 両胸に走る快楽に腰が震えたが、刺激が気持ち良すぎて、どうにも出来なかった。
 しかし相変わらず桜の筆は、菊門をゆっくりと刺激している。

「ふぁ、ああっ」
「初級は終わったけど、そっちはどう?」

 柊の声に、桜が微笑しながら、顔を上げた。

「榊様の希望次第です」
「ふぅん」

 頷くと、柊が祀理の耳元で、囁くように言った。その吐息すら辛い。

「ねぇ、榊様、どうして欲しい?」
「さ、触って」
「何処を?」
「俺の、だから、その、ああっ、前を」
「前って何処かな?」
「だからぁ、ああっ、『精液が出る淫らな男根』ッ」

 それは、柊が今後聞かれたら言うように指示した、安倍三役の言葉だった。
 晴明『様』と呼ぶのと同じくらい、大切な事だと言い聞かせられた言葉だ。

「あー、まだ中級レベルだね」
「そうみたいですね」

 二人が悲しそうな声で言った。
 そのまま柊に乳首を撫でられ続け、桜には菊門を筆で優しく触られる。

「や、やぁ、嫌ぁッ、うあッ」

 涙をボロボロ零しながら、もどかしさに、祀理は何度も頭を振る。
 しかしいくらそうしようとも、柊と桜の手は止まらない。

 そのまま数時間。

 意識が朦朧とするまで、その地獄は続き、なのにもどかしすぎて射精できない感覚で祀理は苦しくなってくる。

「――ねぇ、榊様?」

 意識が飛びそうになっている祀理を見て、苦笑しながら柊が優しく言った。

「どうやったら、中級レベルが終了するか知りたい?」
「う、うん、あああアッ、う、うん、ああ、お、教え、教えてぇッ!!」
「筆鋒を入れて、気持ちいい場所を突いてって言ってご覧?」
「あああ、い、いれてぇええ!! ひ、あ、筆鋒の、ああああ!!」

 その声に、桜が苦笑した。

「全く、何時間かかったと思ってるんですか」

 そして無造作に、筆の持つ部分を、祀理の中へと押し込んだ。

「あああっ、うあ、ああああ!!」

 強いその刺激だけで達しそうになったのに、桜の片手がそれを阻んだ。
 それから、何度も何度も中を刺激する。
 祀理の気持ちいいと感じる場所だった。

「あ、あ、俺、も、もう……ふ、あ」

 ガクガクと体を震わせた祀理を見てから、二人は顔を見合わせた。
 そうして、ほぼ同時に、弄る手を離す。
 すると祀理の先端からは、勢いよく白液が跳んだ。

「あーあ。書道してるだけでイっちゃう何てねぇ」
「それも、乳首と中だけで。榊様の『精液が出る淫らな男根』も触られていないって言うのにですよ」

 両足を下ろされたものの、淫らに崩れた着物のまま、涙を零しながら祀理はその声を聴いた。もう力の入らない体で、首がグッタリと右肩の下に落ちている。

「どうします? 書道で感じてしまう榊様だなんて」
「これから二人で指導していくしかないね」
「そうですね。でも本当、三役として恥ずかしいです。弱りました」

 そんなやりとりをすると、柊と桜は出て行った。
 恥辱と辛さを堪えながら、縛られたままで、祀理は唇を噛み、俯いてただ涙を零したのだった。