<2>襲名披露☆


 ――車に乗せられている間も、何かと辛かった。

 だが、到着して二日間も、貞操帯を付けられたままだったのが、一番苦しかった。



 襲名披露は、三日目のことだった。

 朦朧とした頭で、着物の下部をはだけられ、輪と木製の張り型は挿入されたまま、五瀬さんに、M字開脚の状態に縛られたのが、かろうじて分かった。

 畳の部屋で、多くの人々がいた。全て男性だったが、三十人はいるだろう。

「ううっ、ッは、あ」

 声混じりの息を俺が吐く。そうせずにはいられないほど、陰茎は月のようにそそり立ち、内部もまた辛い。

「お集まりの皆様、暫しご堪能下さい」

 そう告げ柊さんは、笑うと、今度は俺の耳元に唇を寄せた。
 かかった吐息にすら感じてしまい、体を震わせる。

「みんな、君のことを見てるよ。あれだね、視姦てやつ。だけど安心して、此処にいるのは、親戚か、安倍家に仕える者だけだから」

 何をどう安心すればいいのか分からないまま、ただ己の痴態を見られていることの羞恥にだけに、俺はかられた。

「そろそろ良いのではありませんか?」

 誰かが嗄れた声で言った。
 柊さんが頷くと、年嵩の中年の男性が、俺に歩み寄ってきた。

「うああああッ!!」

 そしていきなり、俺の後孔に突き刺さっていた張り型を乱暴に動かした。
 ぐちゃぐちゃとかき回されて、目を見開く。

「あ、ン、はぁっ、あ」

 声が漏れるのが堪えられなくて、俺は泣きながら首を振った。

「や、止め……っぅうッあ」

 しかし奥まで進み、中をグチャグチャと刺激される。
 不意にそれが、ある一点をかすった時、思わず背を撓らせた。

「ここが良いのですか」

 歳こそ上だろうし、俺に敬語を使っていたが、卑しい笑いで俺の体の一カ所を、強引に突き上げ始めた。凸凹した張り型の感触と、その部位から疼く快楽に、涙が止まらない。

「そろそろ良いでしょう」
「しかし――」
「これは、”安倍柊”の、私の命令です」

 冷淡な声で、柊さんが言った。
 すると強引に張り型を引き抜かれ、俺は上部に縛られた腕に力を預けた。
 弛緩した体が、何も言うことを聞かない。

「それでは、儀式を始めます」

 桜さんの声が響いた。
 すると近くにいた五瀬さんに紐を引かれ、無理に四つんばいにさせられた。
 そのまま、最初に一宮――宗信さんの陰茎を口に含まされた。

「っ、あ」

 苦しくて、俺の口からは、ダラダラと唾液がこぼれる。
 暫し俺の口の中で腰を動かした後、精液を放たれた。

 それから続いて二葉の佳織さん、三輪・四條・五瀬・六月・七木・八坂・九重の当主と続いた。全てを飲み干すように言われ、太い男根を、いくつも口へと押し込まれる。

 苦しくて、何度も吐き出しそうになったが、必死で堪えた。
 それでもタラタラと白液が、唇の端から漏れていくのが分かる。
 飲み込めなかった分だ。

 朦朧としていた意識が戻った頃には、俺は気絶していたのだと分かった。

 紐は解かれていて、布団に寝かせられていた。
 だが、輪も張り型もそのままだった。
 苦しくて身をよじっていると、襖が開く。

「お疲れ様。大丈夫か?」

 入ってきたのは、五瀬さんだった。
 曖昧模糊とした意識を無理に戻し、俺は嘆息した。

「抜いて」
「ああ、”月蝕の矛”と”日乱の輪”やろ。それも五瀬の担当だ」

 そう言うと、歩み寄ってきた五瀬さんが布団を剥ぎ、まずは後ろに入っていた張り型をゆっくりと抜き取った。

「ふ、ァ」
「そんな色っぽい声出すなよ。次はこっちや」
「ああああ!」

 輪を取られた瞬間、俺は射精していた。
 三日間、ずっと俺を苛んでいた輪が外れた。

「少し休んで、もうちょっと寝た方が良い」

 五瀬さんはそう言って、俺の頭を撫でると出て行ったのだった。