<1>日乱の輪と月蝕の矛★


「久しぶりだね、”榊様”――あ、祀理くんの方がいい?」

 気怠い体を引きずって、土岐さんが帰った後、一人でいた俺は曖昧に頷いた。
 正直、呼び名なんて、どちらでも良かった。

「あ、これお土産です」

 そう言って桜さんがヤツバシをくれた。
 残念ながらこれまでの人生では食べたことがないので、頬が綻ぶ。

「入っても良いかな?」
「ど、どうぞ」

 柊さんの声に、俺は二人を促して、リビングへと向かった。
 一宮宗信さんが用意してくれたこの部屋にはまだ慣れていないから、自分でも他者を通すことには違和感がある。

 二人がけのソファがテーブルをはさんで二つある。
 俺が正面の端の席に座ると、二人が逆側に並んで座った。
 上座とか下座とかは、俺にはよく分からない。

「今日来たのはね、勿論、祀理君の顔を見たいって言うのもあるんだけど――”安倍榊(あべのさかき) ”の襲名披露の打ち合わせに来たんだ」

 俺が粗茶を用意すると、礼を言ってから、柊さんがそう続けた。
 襲名披露――?
 何をすれば良いのか分からず首を傾げた。
 すると苦笑するように、茶の入る湯飲みを桜さんが両手で取る。

「全部、当日は……――安倍九尾家で準備するから、大丈夫です。ただ……」

 言葉に詰まるように桜さんが、柊さんを見た。

「その事前準備は、安倍本家の三役で揃えておかなきゃならないんだ」
「事前準備、ですか。俺は、何をすれば良いんですか?」

 首を傾げていると、柊さんが立ち上がった。
 ――そして正面にいた俺を後ろから抱きすくめた。

「え?」
「何をされるか、もう察しがつくでしょう?」
「っ」

 そのまま柊さんに、後ろから噛みつかれ、腰がしなった。
 立ちあがった桜さんはと言えば、歩み寄り俺の正面で屈み、唇を近づける。

「ぁ、あ!」

 唐突に陰茎を口内へと含まれ目を見開いた。
 その時抱きかかえるようにしたまま、柊さんが俺の後ろを暴いた。

「ンア――!!」

 圧迫感に目を見開いていると、不意に桜さんが俺の陰茎を更に深く口に含んだ。

「ふ、ぁあっ、あ、ああっ」

 後ろの感じる場所を突かれ、前からは口淫され、訳が分からなくなってくる。
 緩慢な動作で後ろから柊さんに腰を揺らされ、それがもどかしくて、気づけば俺も腰を揺らしていた。イきたい。だが、それを許さないかのように、桜さんは俺の自身を吸い上げる。

「うぁああッっ、も、もう、出るッ」
「本当に?」

 耳元で柊さんに囁かれ、それだけで体が震えた。

「ううっ」
「もっと欲しいって、中は絡みついてくるけど」

 角度を変えるようにして、別の姿勢から、再び感じる場所を突かれた。

「ヤぁ――!! んぁああああ」

 その上、桜さんの舌で先端を嬲られ、それがあまりにも気持ちよくて、俺は頭を振る。
 すると柊さんに、両方の胸の突起を撫でられた。

「ああっ」
「ここも好きなんだ?」
「や、違う、違……んああああああ!!」

 ぎゅっと摘まれ、俺は声を上げた。

「中、こうすると、随分しまるけど」
「ひゃ、ああっ、も、もう……ううッ、ンあ、出る……んぁ」

 思わずそう告げ大きく吐息した時だった。
 ガチャリと金属音が響き、俺の張り詰めた男根に、桜さんが輪をはめた。

「やッ、あ」
「これは、”日乱の輪”だよ。榊様の襲名には、必要なんだ」

 桜さんが口を離して、微笑した。
 その時、柊さんが、俺の中から陰茎を引き抜いた。そして。

「んぁ、ああああああ!!」

 代わりに、凹凸の突いた木の棒を、俺の中へと突き立てた。
 その太さに、俺の入り口が、広がる。

「あ、あ、あぁッ」
「コレも必要な物なんだ。”月蝕の矛”」

 イかせてもらえないまま、一番感じる場所を、木の太い棒で突かれる。

「うぁああああ!! や、ヤだ、止め……んぁあああ!!」
「我慢してね」

 桜さんが苦笑するように言う。その時、柊さんが貞操帯を用意した。

「襲名披露までは、悪いけど、イかせてあげられないんだ」

 金属音を立てて、前を拘束され、後ろを深々と突かれたまま、俺は下半身をパンツのような固いもので固定された。

「ああっ、うあ」

 張り詰めた男根と、後孔の一部にだけ、穴がある。そこから、排泄するという事なのだろうか? しかし尿意は兎も角、後ろから何て、木の棒でふさがれている以上、何も出せるはずがない。

「や、やぁッ」

 柊さんに再び両方の胸の突起を弄られていると、桜さんが着物を持ってきた。
 和風のそれを、今度は柊さんが立ち上がり、ぐったりとした俺に着せる。

「さぁ、みんなが京都で、君を待ってるよ。行こうか」

 まさか、この状態で移動するのではないよなと、俺は涙混じりに顔を上げる。

「車の手配は出来てますから」

 しかし笑顔で言った桜さんの声に、俺は絶望した。ああ、どうしようもなく、体が熱い。



 それから、俺は京都へと連れて行かれることになった。

 車が震動する度に、貞操帯の内側で、中へつっこまれたままの凸凹とした張り型が揺れた。声を堪えるのが精一杯で、我慢していなければ悲鳴を上げてしまいそうだった。

 そんな俺の体を横に引き寄せ、和服の合間から、柊さんが手を差し込む。

「!」

 その瞬間、片方の乳首をきつく摘まれ、俺は声が喉に張り付いた気がした。
 刺激は止まらず、今度は両方の和服を剥かれ、それぞれの手で乳首を撫でられる。

「うぁ、はぁ、ッ」

 ジンジンと体が熱くなり、腰が震えた。
 けれど達する事は出来ない。

 京都についた時――俺は、助かったと思った。
 すぐにそれは幻想だったと気付かされることになる。