16:諜報戦


「それにしても、家時公もやりますね。保科様連れていなくなるなんて」

 久阪の言葉に、山縣が、窓の前で振り返った。
 それまで外を見ていたのだが、意識を切り替える。

「ああ。諜報部から忍ばせてたSPまで巻かれたらしいからな……駄目だな、侮れない」
「しかも、新聞各紙に写真出ちゃってますからね。非公式訪問、福島と東京の友好の証、とかって……なんだかなぁ」
「徳川が、すっぱ抜いた週刊誌の記事を、圧力かけて差し止めたんだよ。で、わざわざ新聞社に写真と記事を送付したんだ」
「え、そうなんですか?」
「よっぽど宮様に見せつけてやりたかったんだろうな」
「これは紫陽花宮様も黙ってないですよね」
「で、久阪なら次はどんな手を打つ?」
「俺が宮様だったらって事ですか?」
「ばーか。仕事中だぞ」
「は! ええと……家時様に、近づきます」
「わざわざこのガードが堅くなってるだろうタイミングでか?」
「だからこそチャンスなんでしょう?」

 久阪の当然だという顔に、山縣はニヤリと笑う。『ガードが堅い時こそがチャンス』だと教えたのは、山縣本人だ。

「ま、俺なら、保科様を喰いに行くけどな」
「え」
「ただ残念ながら、俺にショタ属性はない。ってことで、久阪ちょっと、保科様と寝てこい」
「無理ですよ、嫌です! そんな事したら、徳川からも宮家からも命狙われるというか、殺されちゃいますよ! それ俺に死ねって事でしょ!? 自分で行って下さいよ!」
「絶対嫌だ。俺もまだ死にたくない――……仕方ない、もっと難易度低い奴をあてがってやる」
「えー、俺羽染の件で、結構手一杯なんですけど」
「安心しろ。その関連だ」
「へ?」
「今日は羽染に客が来るみたいだぞ」
「え、そんな話聞いてませんけど」
「羽染本人も知らないからな」

 山縣はそう告げると、珈琲を淹れに向かった。
 残された久阪は、来訪者が女性であることを天に祈った。彼は、クリスチャンである。
 ――もっとも、相手が女でなければ、取る行動は一つだけだ。





 朝倉の執務室にいた羽染は、館内放送の声で我に返った。


『――繰り返します。第二天空鎮守府付き陸軍第十八師団所属羽染良親大尉、お客様がいらしております。至急連絡願います』


 初めての事態に、羽染は首を傾げた。

「呼ばれているよ、羽染」

 朝倉が書類から顔を上げると、正面の席で、やはり書類に臨んでいた羽染が頷いた。

「大変恐縮なのですが、この場合、何処へ連絡すれば良いのでしょうか?」
「外来受付に来てるんだろうから、中央館の受付だと思うけど、行ってきても良いよ。今は急ぎの仕事はないしね」

 朝倉のその言葉に、羽染は時計を見る。

「ですが、まだ職務中ですし」
「上司が構わないって言うんだから、良いんだよ。それに、客の相手をする時間もないほど忙しいなんて噂がたったら困る」

 悪戯っぽくそう言って朝倉が笑ったので、羽染は頷いた。
 行きやすいようにと気を配ってくれる朝倉の発言。そう言う所が、羽染は好きだった。

「では、お言葉に甘えます。有難うございます」

 羽染はペンを置き、立ち上がる。

 中央館の一階へと向かい、総合入り口前の受付に名前を告げる。
 そんな羽染に、ロビーのソファに座っていた青年が走り寄ってきた。

「ご無沙汰してます、羽染先輩!」
「――神保」

 士官学校時代の後輩の姿に、羽染は驚いた。

「お時間大丈夫ですか?」
「ああ……上官が好意で取り計らってくれた。昼休みが終わるまでは、時間がある。食事は?」
「朝からなにも食べてません! 俺一度で良いから、第二天空鎮守府の二階にあるっていうステーキハウスに行ってみたいんですよ! 高くて行けないんですよね」
「……分かった。着いてきてくれ」

 後輩には奢る。
 そんな習慣があるため、羽染は神保を案内して歩き始めた。
 また、その店であれば、昼食時であっても、軍人や議員以外の来客者が多いため都合が良かった。軍のイメージ作りの一環で、市民に開放されている店なのだ。



「で、用件は?」


 再奥の席に案内してもらい、注文を終えてから料理が来るまでは、互いの近況などを話し合っていた。喫煙席にしたのは、神保が煙草を吸うからだ。

 それぞれのステーキが運ばれてきたところで、羽染が切り出す。

「一通目、父からです」

 神保はそう言うと、懐から一通の書状を取り出した。
 受け取った羽染は、静かに中身を取りだし、半紙を広げる。

 手紙を持参してきた神保皐月は、会津藩の重臣を代々務める、神保家の次男だ。
 現在彼の父親は、会津藩の家老の一人である。

 ――暗殺の件を知ってはいるが、止めはせず、かといって口を挟むこともない重鎮。
 会津藩で信頼できる数少ない一人が、彼の父である神保神楽である。
 羽染の父の同窓だったという。

 羽染が暗殺を依頼されたと悟った時、ただ一言彼は『無理をするな、どうとでもなる。妹のことは任せろ』と言ってくれた。

 だからこそ……逆に迷惑はかけられないと羽染は思っている。神保神楽は、誰よりも保科のことを考えていて、それは羽染と同じだった。神楽の父であり、最近引退した神保霜月に至っては、保科に神保の爺様と言われて、大変慕われている。

『宮家が、小夜を転院させる手はずを整えていたが、実行せず。恐らくは、そちらの軍部の関係者が、阻止しようとしていたが、未確認。会津藩と東北軍閥は、動けず』

 短い手紙だったが、羽染は表情を変えてしまいそうになったため、長い瞬きをして誤魔化した。やはり、あの時断って正解だったのだなと確信する。その反面、第二天空鎮守府まで絡んでいるのかと、溜息が漏れた。その必要性があるとすれば、第二天空鎮守府の皮を被った、薩長土肥の関係者だろう。会津と宮家の繋がりが深まることを、彼らは良しとはしないはずだ。現状では、鷹司家の存在が、薩長土肥の勢いを高めているのだし。

「一通目という事は、二通目もあるのか?」
「はい。これ、俺からのラブレターです」
「……」

 笑顔の後輩に、引きつった笑顔を返しながら、羽染は手紙を受け取った。
 ――そう言えば、まだ有馬に連絡していなかった。

「ちょっと待ってくれ」

 手紙を受け取ってから、羽染はスマートフォンを取り出す。

「連絡するところがある」
「やだなぁ、保科様には俺から連絡しますって」
「すぐにしてくれ。別の用件だ。そもそも来るんなら、僕にも前もって話してくれ」
「あれ? 僕を止めて俺って言うんじゃなかったんですか?」
「何時の話だ。今じゃ逆に……なんでもない。兎に角、すぐに保科様には連絡を」

 羽染はそう言って、一通目を胸ポケットにしまい、二通目をテーブルの上に置く。
 そして片手で、有馬の連絡先を呼びだした。

 少し前に羽染は、六台目のスマートフォンを購入し、三台目と四台目に入っていた人間全てに新しい連絡先を送付したのである。

『二階の”リオン”で、会津から来た後輩と二人で食事をしている』

 それだけ送ると、直後に返信が来た。

『楽しめよ!』

 これで何も問題はないなと思いながら、羽染はそれをしまった。
 それから、携帯電話を弄っている神保を一瞥してから、渡された手紙の封を開ける。
 こちらは可愛らしいレターセットに入っていた。

『見たらこの場で燃やして下さい。「殺意が沸いた」とか言って。それで頼まれてた件ですが、先輩の三代目の流出元は、青木先輩です。卒アルを、第二天空鎮守府の諜報部に盗まれてました。居酒屋の防犯カメラに映ってましたよ、俺が仕掛けた隠しカメラなんで、さすがに気づかれなかったみたいです。会津じゃあそこしか、部外者と二人で飲みには行けないんで、仕掛けといた俺のこと褒めて! 青木先輩本人は、何も知らないし、無事です。それと山縣大佐は諜報部の人で確定っぽいですよ。先輩の同室者の久阪さんて人が、卒アル盗んだ奴と接触して受け取ってます。その後、山縣大佐と会ってるのを、掃除のオバサン的な人が見てました。コワいっすね、何がって、オバサンが! 久阪さんも臭いですね。調べてみたら山縣大佐と一緒で、昼の実務、偽装っぽいっす。それと、病院の父からの件、紫陽花宮と徳川家跡取りが保科様を巡って昼ドラ展開らしいんすけど、知ってました? 知ってたなら、俺の台詞「口調にですか?」の後、「そうだ、内容もだけどな」か「違う、内容だ」って言って下さいね☆ 後最後に本当に個人的な質問ですが、羽染先輩が長州の有馬大尉と付き合ってるってガチですか? それとも、暗殺しやすいように、抱き込む腹ですか? 前者なら「第一俺には恋人が居る」で、後者なら「俺とお前の仲だろう」でお願いします。以上! 会津藩の間諜より』

 読み終えた羽染は、神保が煙草の箱の上に置いておいたライターを手に取り、灰皿の上で、手紙に火をつけた。

「ちょ、先輩何してくれてるんですか、俺の気持ちを!」
「殺意が沸いた」

 少しだけ本気で羽染は言った。

「口調にですか?」
「そうだ、内容もだけどな。第一俺には恋人が居る」
「……え。まじですか」

 目を見開き、携帯を打つ手を止めた神保に対し、表情を硬くして羽染は頷いた。

 徳川に関しては、保科から直接的に聞いたわけではなかったが、相手の出方と、今朝の朝刊を見て察しをつけていた。また、有馬に関しては、嘘はつけない。

 ――なにせ、有馬のことが好きなのだから。

「三通目渡すの、ちょっと躊躇。これは、他の人から預かってた、先輩への恋文です。読んだら可哀想なんで燃やしてあげて下さい……俺からお断りしておきますけど、せめて気持ちを伝えようという勇気だけでも、見てあげて下さい。手紙はこれで終わり何で! 一応返事もこの場で書いてもらえると幸せなんですが」

 そう言って、神保が最後の手紙を差し出した。
 会津藩の、重鎮からの手紙だった。これまた、半紙だ。
 同時に、返信用のペンとノートの切れ端も渡される。

『薩長土肥に懐柔されたのであれば、妹の命は最早無い。彼らに頼ろうとしても無駄だ。保科様も全てご存じだ、すぐに生命維持装置の電源は止まる。軍部を動かそうとしても無駄だ。動きが在れば、こちらには筒抜けなのだから。実際転院させることは出来なかったであろう。朝倉の暗殺は、いつになる? そのために、偽装として恋人を作ったのか。そうであるならば、応援しよう。それ以外、あると思うな、利用せよ。奴らは裏切りが得意だ、甘言に騙されることの無きよう。皐月は銃を携帯している、我らの忠実なしもべだ』

 読み終えた羽染は、それにも火をつけた。
 それが燃えていくのを見据えてから、ペンを手に取る。
 焦げ臭い臭いが広がったが、ステーキを焼く臭いと煙に上手く紛れた。
 直火焼きのステーキのおかげで、ここの消火設備は、他よりも設定が甘いのだ。

『転院とはどういう事でしょうか、命と安全を保証して下さるのではないのですか。暗殺は、着々と薩長土肥に疑われぬようアリバイ工作や手引きをしてくれる人間を見つけ(親交を深め)、今はより良い時期を模索している段階まで来ています。会津に迷惑をかけぬよう、注力いたしているところです。会津を裏切ることがあれば、私は死を持って償いましょう』

 そう書いて、羽染は、折ることもせず神保に手渡した。

「適当に封筒に入れて、返しておいてくれ」
「あー、文字にするとダメージでかそうなんで、口頭で伝えます」

 神保はその紙に、火をつけた。
 これで何も証拠は残らない。

「保科様には連絡したのか?」
「はい! 今送信しました」
「お会いするのか? ご多忙だから、しつこく近況を聞いたりするなよ」
「勿論。俺お喋りなんで、会津のニュースは話しますが、保科様から何か聞いたりしませんよ! 誓って」

 互いに笑顔で、けれど瞳だけに真剣さを宿して視線を交わす。

「でもそれって、保科様に色々あるのを羽染先輩は知ってるけど、羽染先輩が知ってることを保科様は知らないって事ですか?」
「当然だ。今朝の新聞を見ていないのか? 保科様は、新聞に取り上げられるほどのご立場なんだ。僕には嫌でも情報が入ってくるが、逆はない。まぁ、今朝は兎も角、他は少しくらいは保科様ご自身から聞いたこともあるけど」
「なるほど、それもそうですね。所で、先輩最近は、魚捌いてます?」

 魚を捌く、それは、二人の間にだけ通じる暗殺の隠語だ。

「全くやってない。僕に捌いて持ってきてくれないか?」

 捌いて持ってきてくれないか、それは、羽染に対する暗殺命令が下ったか否かの確認だ。

「無理ですよ、俺にそんなこと出来るわけが」
「……そうか。ではせめて、妹に」
「だから無理ですって」

 妹の暗殺命令も下っていないと聞き、羽染は少しだけ体から力を抜いた。

「所で先輩って寮暮らしなんですよね?」
「ああ」

 頷きながら羽染は、久阪の顔を思い出した。
 久阪が諜報部の人間だとすれば、最初から自分は監視されていたのだろうと、羽染は考える。別段、あり得ない話しではない。強いて言うならば、徳川との遭遇時に偶然外であったのも、監視されていたからなのだろうと納得する程度だ。だとすれば、徳川家と諜報部は繋がっていない。

 久阪と山縣に面識あるという話は全く聞かないが、だからこそ、信憑性がある。

「何人部屋ですか?」
「二人」
「上手くやれてます? 仲良いですか?」
「飯に行くくらいにはな」
「うは、俺と同レベルとか。どんな人なんですか? 俺もその内入寮するかも知れないから、不安なんですよね、上手くやれるか」
「仙台藩の出自だ。ノリで生きていると本人は言っている。巨乳が好きだそうだ」
「巨乳かぁ……俺はどちらかというと、すらっとして背の高い、やせ形が好きです」
「久阪は、すらっとして背の高いやせ形だぞ」
「クサカさんて言うんですか。女の人、じゃないですよね? それじゃあ無理だな、俺。俺的に男なら、ハゲがいいっす。あ、羽染先輩は例外ですけど」
「さっさと食べろ。そろそろ僕は、仕事に戻る」
「了解です。じゃ、また今度。って、先輩全然会津に帰ってきてくれないじゃないですか。みんな会いたがってますよ。俺が上京するから羽染先輩に会ってこようかなって言ったら、たまたま帰ってきてた東北軍閥の結城先輩が、ゾルゲの映画見たの覚えてるか、またみたい、って言ってましたよ。そう言えば結城先輩って、誕生日十月十九日の二十時四十分十一秒らしいですね。秒数まで母子手帳で確認してるとか、ひきました。覚えちゃった自分に一番ひいたけど」
「確かに気持ち悪いな」

 10192041011と羽染は脳裏にメモした。ゾルゲ文と呼ばれる暗号の数字を伝えてきたのだろう、結城が。東北軍閥に所属している嘗てのクラスメイトとの間では、鍵本は『ルーラック』という書物だと取り決めてある。何の変哲もない、推理小説だ。正確には、今が『ルーラック』であるだけで、実際にはその作者の新刊を鍵本とすることに決めているのだ。暗号解読を防止するために。

 今回届いた暗号は六文字。鍵言葉は、昔から変わらずSUBWAYだ。

 率直に解読し、更に二人の間で通じる一ひねりを加えて、羽染は結城からの連絡を受け取った。これは、神保にも分からないだろう。

 暗号だと分かっている可能性は高いが、神保から直接聞かれたことはない。いつも結城からの連絡を、神保は黙って運んでくれるのだ、少なくとも羽染の側には何も聞かずに。

「ただ、残念ながら、結城の誕生日は違う日だ。どうせ酔ったアイツに、適当に言われたんだろう?」
「え、嘘なんですか?」
「ああ。前にも似たようなこと、無かったか?」
「あったかも……」

 ポカンとした顔を取り繕った神保を見ながら、羽染は考える。
 結城からの連絡の内容は――たらこパスタだ。
 たらこパスタとは、結城と羽染が取り決めた、緊急時の暗号である。

 それは互いが連絡を直接取れない状況下において、相手の側に物理的にいる会津藩の人間に危険が迫っていることを知らせるメッセージだ。それも、命の危機に関わる物に限定される。ただ一人保科だけは例外で、保科に危機が迫っている場合は『ナポリタン』となる。その為、現在の羽染にとっては、その条件に合致するのは、神保皐月だけだった。

「直接会って、それを聴いたんだな?」
「はい」
「だったら、次に会う機会があったら、もしくは本当の誕生日の時にでも、独逸料理をごちそうしてやれ」
「独逸料理? なんで?」
「僕がそう言っていたと結城に伝えてくれれば分かる。と言うか神保、知らなかったのか? あいつが独逸料理好きだって」

 神保が知っているのか否か羽染は知らなかったが、『独逸料理』とは、結城と羽染の間で決めた『了解した』という合図だ。

「あ、そうだったんですか。や、俺、羽染先輩との方が仲良かったし」
「所で今日は何処に泊まるんだ?」
「ええと、最寄りの駅前のビジネスホテルに一泊してから、明日の帰郷前に、七時から二十分だけ、保科様にお会いします」
「折角こちらに来たんだから、横浜まで出て大観覧車でも見てきたらどうだ? すぐに帰るのはもったいない。神保は、高いところ好きだろう?」

 羽染の言葉に、短く神保が息を飲んだ。
 今度は、羽染と神保の間で取り決めた言葉だ。

 横浜という語には、意味がない。その都度、近い土地の名を当てはめるのだ。しかし”大観覧車”は、緊急避難を意味する。”高いところ好きだろう”は、命に関わるという意味だ。

「それって……」
「違ったか? 結城から、そう聞いた覚えがある」
「……そういえば、言ったかも。けど横浜は、流石にちょっと。新幹線乗り継ぐのはなぁ……けど俺、観覧車が素敵だって分かってました。分かってたんです。それにしても観覧車って危ないですよね、特にこっちのは規模が大きいから、緊急停止したら大変だし」

 神保の言葉に、羽染は眉を顰めた。神保は、知っている様子だ。
 ――恐らく神保は、東京で命を狙われるだろう事を、理解していたのだろう。

「俺は死にたくないんで、安全確認だけは怠らないんですけどね」
「そうか……」
「なーんて言ってもし俺に何かあったら、結城先輩に独逸料理おごれなくてさーせんて伝えて下さい」
「分かった」

 羽染は頷いて、立ち上がった。

「そろそろ行く。またな」
「はい。羽染先輩もお元気で」



 そのレストランにいる諜報部やどこかの密偵である人間達は、思い思いに得た情報を、咀嚼していた。